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2006年11月29日 (水)

『トム・ヤム・クン!』観た!

 もーう!

 いいね! トム・ヤム・クン!

 とにかく象!

 象象象!

 象、最高!

 とにかくトニー・ジャー!

 トニートニートニージャー!

 トニー・ジャー、最高!

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2006年11月28日 (火)

たぁーんとお飲み

※ミクシィからの転載!


 グルメ!

 んで、ドリンク!

 またしてもドリンクネタ!

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2006年11月23日 (木)

風呂掃除 with 悪魔

『Resident Evil』
http://www.hmv.co.jp/product/detail/421781

 W42S&イヤホン装備で

 ちょうどこれの八曲目辺りを聞きながら風呂掃除。

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大正ろうまん in 金沢

 ろうまん。

 ろうまんですよ。


 注文の品を引き取りに

 工具部材屋へお使いに行った折り

 おや?

 と筋向いの家屋に目が行きました。

 時代を感じさせてくれる洋館でございます。


洋館01

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2006年11月18日 (土)

叩いたね! 妻にも叩かれたことないにっ!

 タイトルは深く考えないでください。
 いちおう未婚なので。
 いろいろ未定なので。

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2006年11月17日 (金)

いろいろ新装です

 サイドバーを中心にいろいろ触ってみました。

 せっかくあるんだから使わないとね。

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視覚と映像の関係に否を唱えてみる

※ミクシィ日記から防備録として転載


 どもー、こんばんは、狼煙です。

 今日の日記は今までのモノとは毛色が違うので
 興味のない方はとことん興味がない内容です。

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2006年11月16日 (木)

見たまえ、これもヒトの技なのだよ

 って!?

 あっ、えっ、なっ!

 すげぇ……こいつはすげぇよ、ボス!

 オレァいまいち自分の眼が信じられねぇ。


スーパーサーカス 金沢公演

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2006年11月14日 (火)

初ウォークマンは『W42S』

 携帯電話を交換してちょっと。

 私は音楽がないと筆がのらない性質なのでカキモノ中はMP3を延々エンドレス状態。

 そんな理由からデジタルオーディオは前々から欲しくて、iPODやウォークマンの細いタイプ(?)いいなぁ、と思っていたのです。

 で、そんな時に、前の電話が世を憐れみ入水されました……。んがー!

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2006年11月12日 (日)

短編:『立派な悪魔になりたいのっ!』

 立派な悪魔になりたいのっ!

 あまりにも、彼女はあまりにもダメなのだ。
 どれくらいダメかと言うと、それはそれはもうどうしようもなくダメなのだ。

「アンタさぁ、やめちゃいなぁ。向いてないって今の配置」
「でも、ほら、あれでしょ? えっと……その……ほらぁ、ね?」
 魔界一と誉れの高い〝喫茶るしふぇる〟で娘がふたりお茶をしている。どちらもなかなかの容貌だ。
 転職を勧めたほうは美人系でおねえ系で背の高い細身の娘、レザーファッションが板についているところから察するに人間発電所の職員だろう。
「ワタシんとこ来なよ。鞭もってさぁ、『キリキリ働けぇーい! 暗いじゃない! 暗いでしょー!』って叫ぶだけでいいんだよ? 楽なもんだって。アンタにだって勤まるよ」
 ほらね。
「でも、あたしは営業したくていろいろ頑張ったんだよ? あたしは人を不幸にする立派な悪魔になりたいの」
 こちらは相方とは対照的に可愛い系で妹系で背が低い。唯一細身である点は同じかも。
 灰色のダッフルコートは営業職のトレードマークなのだが、魔界随一と謳われる景勝〝灼熱溶岩渓谷(極一級河川認定)〟を望むこの喫茶ではやや浮いて見える。営業職にはこれとは別に、白いブラウス、黒いサテンベスト、蝶ネクタイに黒いキュロットといった支給服もあるのでここに来るならそっちがよかったんじゃないだろうか。まぁ、彼女はそういう抜けた娘なのだ。
「頑張ったって何を?」
〝真紅の悦び背徳ブラッドワイン(ノンアルコール)〟のグラスに口をつけ相方に目をやる。できる女の余裕がそのまま余裕として現れていた。できる女は脚の組み方からしてセクシーだ。
「大学でもちゃんと専攻したんだから。――拷問術基礎のAとBでしょ。空言術基礎、ダメダシ術基礎、篭絡術基礎、それに通信で居留守選科も。それから、それからさぁ……」
 その友人は指折り数えるダメ娘にため息が出た。
「ちょっと待って。アンタのそれって全部基礎じゃない。それにさ、試験だって赤点ギリギリだったんでしょ? 単位ヤバイって言ってたじゃん」
「そんなことないよ! 駄料理術はダントツトップの成績だったんだから! まずい料理を〝作らせる腕〟は魔界一なんだから!」
 目に星を入れ力説する彼女に相方も僅かに怯む。だが意外だ、この娘にひとつでもとりえがあるなんて。
「アンタ自身の料理も魔界一まずいじゃん」
「そ、そんなことっ! ……ちょっと……あるけど……」
 そういう裏があったか。
 ダメっ娘は、気まずさを誤魔化すように〝大吟醸真冬のサンゴ礁(アルコール度数九八%)〟をこぼれないように裾から呑んだ。こちらは渋くコップ酒なのだ。
「アンタ、よくそんなの呑むね」
「え? おいしいよ?」
 水位がコップ九割五分ほどに下がったあたりで手に持ちひとくち。そのひとくちでさらにコップ半分になる。
「ほら、おいしい」
「知らないって」
 酒は結構いけるようだ。酒呑みはわからん、と下戸の相方は首を振る。それでもとめないところを見ると酒癖は悪くないのだろう。
「そういやさぁ」
 グラスを回し思い出したことを口にする。
「アンタ、今日なんか用事あるんじゃなかったっけ? 総督府にどうの、とか」
「うん、そう……実はね、ミスしすぎちゃって……異動……かも……」
 酒豪のダメっ娘は急に萎れてしまった。対して相方は無糖缶コーヒーほどの微妙な苦さで緩む。
「知ってる。有名すぎて誰でも知ってるよ。あんな事やこんな事、狙ってやったんじゃなきゃそれはそれで才能かもね。――ま、悪魔のじゃないと思うけど」
「でも、宝くじで鈴木さんが一等当てちゃったのは、あたしが操作した直前にイリーガルな人が一枚買ったからだし、スミスさんが大発明しちゃったのも、実験が失敗するように薬品のラベルを書き換えた後だし……」
「だからアンタじゃん。やっぱり」
「えー」
「えー、じゃない。だからワタシは言ってるのよ、アンタ外勤向かないんだからこっちおいでって。こっち来たら案内するからさ。うちの地下食堂もなかなかよ? Aランチは牡蠣が多くてお勧めかな」
「あたし、牡蠣きらーい」
「あ、そう。――んで、大丈夫なの?」
 とはいえ、ふたりはやはり親友のようで彼女も急に心配そうな顔になる。持つべきものは友、というわけだ。これは魔界であっても変わらない。
「どうなるかなんて、そんなのわからないよ」
「あ、いや、時間なんだけどさ。まだ大丈夫?」
「大丈夫。一時だから」
 危なっかしい親友にふーんと返し、彼女は自分の腕時計をちらりと見た。
「んっ? ……ってちょっと! も、もう一時半だけど!」
 テーブルが揺れ縦長のグラスまで倒れそうな勢いで身を乗り出す。グルンとグラスの淵は円を描きコトンと戻った。
「まだ十二時だよ。ここから魔鉄で十五分で着くし。ほら……あ、れ? ごめん止まってたみたい。電池切れかな?」
 事の重大さに当の本人はいまだ気付いていない様子だ。これほど高レベルなダメっ娘はそうそういないに違いない。
「ちょっ! だっ! なっ! と、とにかくさっさと行くっ! ここワタシが払っとくからっ!」
「ごめんね、お願い」
 といいつつも、真冬のサンゴ礁を一気に煽ってから店を出て行く彼女は結構太いのかもしれない。

「あーそう、そんな感じでチャチャッとお願い。他はそっちの御任せで。お礼に今度おごるからさぁ。――え? そこうまいかって? うまいに決まってんでしょ? 変な店にゃ連れてかないよ。俺がハズレに誘ったことある? ――だろー? だからさ、よろしく頼むよ。俺ンとこでも手に負えなくて。あっ、ごめん、今やっと来たみたいだから切るわ。んじゃまたー」
 黒タキシードに蝶ネクタイ、腰にまで届こうかというほど長髪の彼は、耳にかかった黒髪をかきあげながら受話器を置いた。ダイヤル式の黒電話がチンッと鳴る。執務用とはいえ倹約が行き届いているようだ。
 コンコンと遠慮がちなノックがダンスホールほどもある広大な執務室に響く。大理石の床に木目の美しい壁、天井から豪奢なシャンデリアが下がるこの部屋はそれくらいに静かだ。……前言撤回、倹約するトコロを間違えている気がする。
「入れ」
 さっきまでの軽薄な口調から三百六十度回転し、さらに百八十度回ったあたりの声でドアの向こうへ呼びかけた。
 入って来たのはダッフルコートの酒豪ダメっ娘。人に合う前に酒を呑むのは魔界では極普通のことなのでこれに関しては常識的だ。
「ま、魔王様、あの、遅れてすみません!」
 この男が魔王らしい。人間ならば齢三十前後といったところか。案外若い魔王である。しかし、たぶんタダの若作りだろうと思う。なぜならば、重厚な執務机の端にはiPOTmahoがあるのだが、これの総天然色液晶の画面にはグループサウンズの名曲達やジョン・レモンのタイトルが踊っているのだから見た目以上の年齢であるのは確実だ。
「遅れたのはいい」
 むしろ、なにやら裏のありそうな電話していたようだし遅れてくれて助かったんじゃないだろうか。
「お前は研修中だな」
「は、はいっ!」
「魔界公社の営業三千七百十八課所属。勤務期間は六ヶ月と七日だな」
「はいっ! そうです!」
「……そんな大声で答えなくていい。十分聞こえている」
「はいっ! すみません! ……すみません」
 肩で息をつき改めて彼女を見る。
 始末書ではおなじみの名前と顔だったが、直に会うのはこの日が初めてだったようで、なるほど、と力が抜けた。
「君は、君が起した不祥事の件数を知っているかね?」
「え? えと……えと……」
 指折りはじめた彼女を前に、さらなる脱力が魔王を襲う。魔王も大変だ。
「六十七件だ」
「そんなにありましたっけ?」
「ありましたよ」
 言葉遣いもなっていない、昨今の若者はホントに、と愚痴が出るようなら立派なおじさんなのだが、魔王陛下は幾分〝悪魔ができている〟ようでおじさん症状はなかった。想像よりも精神は若いのかもしれない。
「六十六回で止まっていれば縁起もよかった。だが六十七回では面白くない」
 雲行きが悪くなってきたと流石のダメっ娘でも気が付いたらしくあせあせと取り繕う。
「あ、あの、それだったら、ちゃんとした営業を一回して六十六回にするっていうのは……どうでしょう?」
「君ね。営業してくるのは当たり前。ミスの回数は減らない」
 頭が頭痛で痛いのか額を抑える魔王。魔界でも責任者は頭痛胃痛に悩むのだ。
「半年でこれだけの不祥事を起した例はない。――であるから、君には罰を与える」
「はい……」
 骨の髄からしまったーと苦い顔の彼女に魔王は無慈悲に言い放つ。
「君を許す」
「えっ?」
 意外な言葉に彼女は耳を疑った。
「君を許す、と言ったのだ」
「えっ? ……えぇぇぇ! そ、そ、そんな!」
 すっとんきょに声を裏返し彼女の顔からみるみる血が引いていく。
「君が起した問題数は度を超している。甘んじて受けろ」
「ひ、酷すぎます……確かにあたし、たくさん……で、でも……」
〝許す〟という行為は神や天使に属する所作であり、悪魔である彼女にとってそれは百万の拷問を百万年受けるよりも凄絶な仕打ちなのだ。いわば魔界の極刑である。
 魔王は、涙をぽろぽろとこぼしはじめた彼女を一瞥し、ならば、とM下幸之助も納得の壁掛けテレビをスイッチポンした。もちろんリモコンだ。
「では猶予をやる。これを見ろ」
 彼が示した画面にはひとりの青年が映されていた。画面の端には〝LIVE〟と出ているからたぶん録画ではなく中継なのだろう。
 青年はともすると〝美〟がつきそうな面立ちで、そこそこいけてる魔王といい勝負ができそうだ。髪は適度に短く、茶のスーツと同色のスラックス、タイは紺色の取り合わせ。地味といえば地味な平々凡々なサラリーマンである。
「あの、この人は?」
 質問する彼女は幾分上気しており、こんな状況であるにも関わらず青年に興味があるようだ。ダメっ娘だって恋する権利はある。……状況を選ばないのがダメっ娘のダメっ娘たる由縁なのだが。
「これはどこにでもいる、タダの、極々普通の、一般的な、特色のない、平均的なサラリーマンだ」
「はぁ」
「彼を不幸にして来い。できたなら二時間空気椅子の刑を与えてやる」
「ホ、ホントですかぁ!」
 キラキラ光る彼女の瞳は何についてこれほどの輝きを見せているのか。好みの男を不幸にできる喜びなのか、刑を与えられる快感なのか。
「だが」
 彼女の眩しいキラキラを払うように魔王は続ける。
「日が落ちるまでにもし不幸にできなかった場合――」
 意味深に言葉を切られ彼女も、なんですか、と乗り出す。
「君を悪魔から除名し天使に落とす。以上」
「う゛っ……」
 その程度しか声も出ないだろう。
 まさか、この世でもっとも美しく輝かしく、修学旅行で寝ている間に額に肉と落書きしていった犯人よりも忌むべき存在である、あの天使にされてしまうなんて。悪魔にとって最大の屈辱、最大の刑だ。これに比べれば〝許される〟ほうがン億倍増しに違いない。

 というわけで、彼女は地上に上がっていた。
「どうしよう……」
 愕然と肩を落とし、夢遊病者のように彼を捜す。
 万が一失敗すれば彼女は天使にされてしまう。これ以上の悲劇があろうか。もっとも、〝万が一〟は失敗ではなく成功につけたほうが彼女の場合それっぽい。
 もうだめだー、と口からエクトプラズムを吐きつつゆらりゆらりと歩く彼女……非常に怪しい。
 しかし、どん底の彼女にもツキはちゃんと回ってくるようだ。どんな偶然か、お目当ての彼がまさに〝偶然〟急接近していたのだ。
 人々がすれ違う歩道、うつろな目で彼女が向かう先二十メートルにカバー付き単行本を読みながら歩く彼がいた。しかも、彼女のほうへ歩いていた。本当にどんな偶然なのか。
 もうだめだーの彼女と活字に夢中の彼、ふたりはどんどん近づく。
 十五メートル、彼女は気付かない。
 十メートル、彼女は気付かない。
 五メートル、彼女は気付かない。
 二メートル、彼女は気付かない。
 一メートル、彼女はまだ気付かない。
 で、
「きゃっ」
 お約束だ。
 ダッフルコートの彼女は正面から彼にぶつかり後ろにこけた。こけたといってもペタッとしりもちをついた格好だ。
「あっ、すみません! 大丈夫ですか?」
 映像で見た時は華奢なイメージだったが、ぶつかってみるとそれなりに筋肉質らしくよろける仕草もない。スーツの脇腹を叩くように手を拭き、その手をサッと出す。結構紳士じゃないか。
 彼女の手を取り、くっと立たせる。その仕草も極々自然で、正常な成年男子なら不意に出てしまうようないやらしさは全くない。ますますもってジェントルマンである。
「あの、大丈夫でしたか? すみません、よそ見してて御迷惑を」
 そこまで言うと背広の胸ポッケから純白のハンカチーフを出し彼女に渡す。……ここまで来るとちょっとキザだ。あまりカッコよすぎると男の敵になるので彼は注意が必要だろう。
「あ……いえ……」
 しぼんでいた風船にじわーっと空気が入り彼女は力無く微笑んだ。

「なるほど、営業ですか」
「はい、営業なんです」
 彼女と彼はすぐ近くの喫茶に入っていた。半地下のここは紅茶とスコーンが美味いらしい。彼はときどき利用するようで彼女のぶんも好みを聞きつつ注文していた。もちろん、ここの払いは彼だ。ごめんなさい代である。
「何を扱っていらっしゃるんですか? 商品とか」
「えと、魔を……」
「マオ?」
「あっ、じゃなくて! ま、まー、……まー? マッ! マジックです! 魔法とかじゃないですよ! こうやってキュッキュッて書くマジックです! あのマジックです!」
「あぁ、はい、あのマジックですね?」
「はいっ! そのマジックですっ!」
 彼女は語彙荒くつんのめるように力説する。
 しかし、不思議なことに彼はちっとも妙に思ってはいないようだ。こんなに怪しい彼女を前にしても動じない。普通なら、もしかして不思議ちゃん? と首を傾げるところなのだが……この男、いろいろな意味で侮れない。
 ちなみに、彼女が言葉を切った『魔を』の続きは『さす』だった。つまり、彼女の営業とは『魔をさす』こと。人間の弱い部分に〝魔〟を刺すわけだ。
「あ、そうだ、すみませんでした。これ僕の名刺です。もしお怪我などされていましたらこちらへご連絡ください」
「どっ、どうも」
 彼が差し出した名刺によればどこぞの出版社で働いているらしい。
 名前は〝簾出雅美〟とある。
「〝のれんでまさみ〟さん?」
「〝すでまさみ〟、です」
 訂正しにっこりと微笑む。
 彼女はもう一度名刺に目を落とし、すで、すで、と心の中で称えた。〝のれん〟と読むには〝暖〟の字が足りないことを彼女は知らなかったようだ。それでも、魔界から来て日本語を話せているのだから、もし彼女が人間なら十分に優秀な部類ではある。
「簾出さん、この後お仕事はいいんですか?」
「今日はもう上がりだったんです。この二日間は徹夜でして。……あ、すみません、においます?」
 首を曲げ袖を鼻に寄せてから、もうしわけなさそうに前髪を掻いた。
「いえ! そんなことないです! 全然ないですからっ!」
「それならいいんですが」
 彼女はダメダメのダメっ娘だが一応ここへ来た理由は覚えている。そう、彼を不幸にするのが使命だ。
 と、そこへ好機到来。ウェイトレスがカップと紅茶のポットを持って彼の向こうからやってきたのだ。
 ちちんぷいと彼女はウェイトレスの靴底に超強力接着剤〝トレールZ〟を付けた。悪戯術基礎Cで習ったモノだ。これは回っている独楽を立てたまま止めてしまうほど強力なのだが接着一秒後には粘着力を失うという優れた悪戯魔法である。
「あっ!」
 見事にウィトレスは転び、宙を舞う陶器製の丸いティーポットは彼の背中にぶち当たってお茶をまいた。
 ごむっと鈍い音を立てた後、ぐふっ! と奇妙な悲鳴。重そうなポットを背中に受けてテーブルに突っ伏す彼は背中を紅茶で染めている。奇跡的にポットは割れてはいない。
 ウェイトレスは何故自分が転んだのかわからず驚き、すぐにお客に痛烈なダメージを与えていると気が付いて蒼白になった。
 それを仕掛けた彼女のほうも予定より確実に二レベルは痛そうな音を聞いて、しまったーと思った。
「すすすみませんっ! すっ、すぐ代わりのお洋服を持って参ります! じゃなくて、弁償の布巾を! でもなくて、えと! そのっ!」
 完全に何がなんだかわからなくなった彼女はわたたと凄まじい速度で何か間違った言葉とジェスチャーを組み上げる。ダメっ娘もさすがに彼女に悪いことをしたと思ったようでとても気まずそうな顔をした。
 とはいえ、これで彼女は課題をクリアした。誰がどう見たってこれは不幸だ。小さなボーリング玉を背中に喰らい、さらに紅茶の追い討ち。彼と彼女に悪いな、とは思いつつもとりあえず天使にならずにすむわけだ。
「うぅ……」
 彼もやっと状況を飲み込み、身に振りかかった不幸について「不幸だ」と語る。
 はずだった。
「効いたー。あー、ちょっと肩こりとれたみたいです」
「えっ?」「はっ?」
 これはいったいどこから引き出された台詞だろう。彼は不幸を呪うどころか肩こりが治ったと言う。さすがにこれは誤算だ。というか、この反応はあまりに非常識だ。どうやら酒豪ダメっ娘悪魔よりもよっぽど彼のほうが不思議ちゃんだったらしい。
「で、でも、紅茶がっ! すみません!」
 そうそう紅茶と肩こりは関係ないだろう。さぁどう返す不思議青年〝簾出雅美〟。
「大丈夫ですよ。っていうより、ありがとうございます」
「はっ?」「えっ?」
 次はダメっ娘とウェイトレスの吃音が入れ替わった。
「いえ、実はこれ、記事を書くためにお借りしている新製品のサンプルなんですよ。何をしても汚れないって謳ってまして。防水性もあるはずだから――ほら、中も大丈夫」
 彼は背広を脱いでシャツを見せた。確かにシミはない。背広のほうには紅茶が滴ってるものの布巾で拭けばわからなくなりそうだ。洗濯してしまえば本当にシミも残らないんじゃないだろうか。

 彼は只者ではなかった。
 スコーンの中にコインを入れたらガリッと噛んだそれが結構な値打ちモノだと言い、砂糖を塩に変えると嘘みたいな塩ダイエットが流行っていると言う話になり、とどめにお勘定では店のつり銭を全部十円にしたのだが何故だか彼は巾着のようなガマ口を持っており、十円貯金をしている旨を打ち明け、これにもえらく喜んだ。百円や五百円ならともかく……十円貯金なんて聞いたこともない。
 ダメっ娘にしては前例がないほど真剣に悪さを仕掛けたのだけれども彼には全く効果がない。暖簾に腕押し、ぬかに釘、たくさん魔力を使ってしまいすっかり疲れてしまった。
 半地下の喫茶を出るともう日の入りが近いとわかった。空はすっかり茜色で、あと数分で貴女は天使、と語っている。
 彼女の視界が不意に歪んだ。
 立派な悪魔になりたくて、でもダメで。結局〝立派な悪魔〟どころか〝ダメ悪魔〟ですらなくなってしまう。もうすぐ彼女は忌むべき天使になってしまう。
 脚はもう動かない。ぽろぽろとコンクリートの階段に雫を落とすだけだ。
 少し前を歩いていた彼は背後の靴音が消えたのに気付き振り向いた。
「あの……どうされました? やっぱりどこか痛いんですか?」
 一段降り、二段降り、三段降りて、彼女の二段手前で屈んだ。覗き込むように顔をあわせる。
「違うんです……違うんです……」
 ふるふるとただただ首を振る彼女に数秒の沈黙を預け、彼は胸ポッケから二枚目の純白ハンカチーフを出して彼女の手に握らせた。
 彼女も受け取ったそれで両目を拭う。それでも涙は止まらない。
 天使になってしまう自分、もちろんそれは死ぬほどイヤなのだろう。
 でも、涙の色は今や単色ではない。あれだけ酷い目に合わせた彼が優しくしてくれる。それがロジックとは無関係な涙を生んでいた。彼は立て続けに起きた不運の元凶が彼女だとは知らない。それでも、彼がたとえそれを知らなくとも、彼女は知っているのだ。
 彼女から感情が溢れている間、彼は何も言わない。何も聞かない。
 ただじっと彼女を待っている。彼女が満足するまで一歩と離れていない距離で声をかけるでもなく手を伸ばすでもなく待っている。
 彼女は何も言わない彼に目元を拭いながら視線を向けた。すぐに視界がぼやけるのではっきり見えたのは一瞬だ。
 でも、彼は明らかに辛そうな顔をしていた。
 そう、彼は今不幸だ。
 ビルの谷間に日が落ちた。

「よかったね」
「うん。……ほんと」
 魔界一の景勝地〝灼熱溶岩渓谷(極一級河川認定)〟を望む魔界一の〝喫茶るしふぇる〟で娘がふたりお茶をしている。
 片方は比類なきダメっ娘、片方は人間発電所のセクシーな職員。
 セクシー娘は相方が無事再起できたと聞いて喜んだのだが、なにやら親友は骨抜き状態でマブダチとしてはどうにも気になる。
 で、聞いてみた。
「もしかしていい人見つけた、とか? ……まさかねぇ。あははは……は?」
 反応はない。どうやらこれはかなりの重症らしい。
「はぁー……悪魔でいられてよかったけど……天使になるのもよかったかも……」
「って! なっ!」
 ガタッと立ち上がり親友の額に手を当てる。とても、極めて、最大に心配顔で親友に諭す。
「アンタ疲れてるのよ。ちょっとお休み貰いな。早速明日からでも。それがいい。うん、〝針の山タワー〟とかいいらしいよ?」

「世話になったなぁ。ホント感謝ッス!」
 執務室で黒電話を握るのは長髪イケメンの魔王陛下。この軽薄な地の語りさえなければ結構もてるはずなのに。まったくもって素材の無駄遣いだと言いたい。
『僕はたいしたことしてないから。結局お役に立てなかったし』
 で、対する相手は、
「んなこたぁない。さすが神様だよ。俺より二、三枚うわてだって」
 神様でした。
『偶然だよ。でも、僕は結果的に彼女を幸せにできたし、彼女も僕を不幸せにできた。そっちもこっちも望むモノを相手に贈れたんだ。お互い計算は合ってるはずだね』
 んだなぁ、と魔王は頷き、
「でさぁ、俺ンとこは損も得もしてないからまぁいいんだけど……もしかしたら、もしかしたらだけどさ、そっちは逸材逃しちゃったんじゃない?」
『さぁどうかな。――僕は美味しい店に連れてってくれたら満足だよ』
「そうそうそれよ。針の山タワーって知ってる? そこの〝ツンツンボラのフィンチ風定食エクセレントリッチ〟ってのがうまいんだ。そういや、そっちも明日非番じゃなかったっけ?」
 魔王のお誘いに、
『今日は絶食しなきゃね』
 神様は笑って返した。

 了






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雪の香り

 微かに雪の香りが。

 今夜か明日か降るんでしょうねー。


 まだタイヤ履き替えてないんですけど。
 参ったなぁ。


 それはそれとして、冬は好きです。
 スキーもスノーボードもしないのになぜ好きなのか。

 それは……。

 やっぱりご飯が美味いからでしょうか。

 特に魚。
 私の地域では特に鰤。寒鰤です。
 脂がのって且つ肉も締まってきますからねー、たまらない旨さです。
 旬なモノは旨くて安くて最高♪

 あと、鍋もうまうま。
 野菜と肉の旨みで身体の芯から幸せな季節ですね。

 耳が切れそうなほど寒い季節になりますけども、美味しいものを美味しくいただけるよう身体に気をつけないと。
 ってことで、今夜は鍋です。

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2006年11月10日 (金)

文学フリマに出展!

 日記を書こう! と思い立ったものの、書くことがないのですよ。

 なので、ここで緊急告知。


〜 出展! 『作家たちの夢束2006』 〜


 文学フリマに、
 創作系ML『作家たちの夢束』から新刊出展です。

 その名も!

『作家たちの夢束2006』

(そのまんまじゃーん! っていうツッコミはなっすぃんぐ)


 〜内容〜

  テーマに沿った掌編集
      &
『小説執筆に分業は可能か』対論
      &
 シェアド・ワールドSF短編集


 掌編集のテーマは、
『人間の身体の各部位』
『百円玉』
 ちょっと怖かったり
 ちょっと可笑しかったり
 ちょっとほんわかしたりの全七編。

『小説執筆に分業は可能か』対論は、
 当初予想だにしなかった意外な方向へと進み
 まさかまさかの展開に……。
 なかなかスリリングな対談録。

 シェアド・ワールドSF短編集は、
 宇宙開拓史を基軸としたスペースオペラ。
 緻密な年表に散らばるいくつもの人間模様が
 時間、場所を越えて連なる全五編です。


 総項約130ページの小説集となっております。
 私も編集として参加しました。
 カキモノに興味のある方は是非。

http://www.nexs.jp/yumetaba/index.html


第5回 文学フリマ について
http://bungaku.webin.jp/
開催日時: 2006年11月12日(日)
開場: 11:00〜終了16:00
場所: 東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第2展示室 (JR線・東京メトロ日比谷線 秋葉原駅徒歩3分、 都営地下鉄新宿線 岩本町駅徒歩5分)
ブースはB-41。二階です。

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2006年11月 6日 (月)

日記を書こう

 ブログ開設以来放置状態なので

 日記でも書いてポツポツ行こうと思います。

 ま、ちょっとずつね。

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